夫婦で一緒に仕事をする。
今振り返ると、なかなか思い切ったことをしたなと思います(笑)。
私たちは2014年10月、千葉で「ほぐし処とりっぷ」というリラクゼーションサロンを始めました。
それから約12年。
楽しいこともあれば、思うようにいかないこともたくさんありました。
そして2026年、私たちはサロンという形での仕事に一区切りをつけました。
今はそれぞれ別の仕事をしていますが、あの12年間があったから今があると思っています。
今回は、夫婦でサロンを始めることになった頃のことを振り返ってみます。
きっかけは主人の会社員生活
主人は大学卒業後、約20年間営業の仕事をしていました。
もともと人と話すことが好きで、人に喜んでもらうことにもやりがいを感じるタイプ。
ただ、仕事の中でパソコン作業が増えたり、長い通勤や人間関係などが重なったりして、次第に今の働き方を続けることに疑問を持つようになりました。
当時は、リラクゼーションサロンへ行くこともあったようです。
施術を受けるだけではなく、お店の雰囲気や香り、音楽の中でゆっくり過ごす時間そのものが気分転換になっていたと言います。
そんな姿を見ていて、私はあるとき主人に、
「別に会社を辞めてもいいんじゃない?手に職を持てばいいじゃん」
と言いました。
今考えると、なかなか大胆な一言ですよね(笑)。
でも、その一言をきっかけに主人は会社を退職しました。
夫婦でタイ古式マッサージを学びにタイへ
会社を辞めたものの、
「じゃあ何の仕事をする?」
となります。
そこで私が思いついたのが、タイでタイ古式マッサージを習うことでした。
せっかくだから一緒に行こうということになり、タイのスクールへ。
旅行気分……と言いたいところですが、実際はほとんど勉強(笑)。
昼間は学校で施術を習い、夜はホテルでその日の復習。
限られた日程の中で覚えなければならなかったので、観光どころではありませんでした。
それでも無事に修了し、帰国。
これが、私たちがリラクゼーションの仕事に深く関わるきっかけのひとつになりました。
主人はセラピストとして現場へ
帰国してすぐ仕事が見つかるかと思いきや、当時は男性セラピストの求人が今ほど多くありませんでした。
しばらくして、近くにリラクゼーション店がオープンすることになり、主人はそこで働くことに。
タイ古式とは違う施術だったため、指の使い方から施術の流れまで改めて勉強し、現場に出るようになりました。
毎日さまざまなお客様の身体に触れながら経験を積んでいくうちに、主人なりの施術に対する考え方も少しずつできていったようです。
一方、私も別のリラクゼーションサロンで働きながら、さまざまな技術を学んでいました。
「だったら自分たちでやってみよう」
夫婦それぞれ別の店で働きながら経験を積んでいるうちに、
「自分たちがやりたい施術を、自分たちの店でやってみたい」
と思うようになりました。
身体は一人ひとり違います。
同じ施術を同じようにするのではなく、その人に合わせて考えたい。
そして、疲れて来店した方が少しでも気分よく帰れる場所にしたい。
そんな思いから、2014年10月に「ほぐし処とりっぷ」をオープンしました。
今思えば、勢いもかなりあったと思います(笑)。
夫婦で仕事をするのは簡単ではなかった
夫婦で仕事をするというと、
「いつも一緒で楽しそう」
と思われることもあります。
もちろん楽しいこともありました。
でも実際は、仕事と生活の境目がなくなったり、意見がぶつかったりすることもあります。
経営のこと。
お金のこと。
スタッフのこと。
お客様のこと。
店を続けていれば、考えることはいくらでも出てきます。
特に思うように売上が伸びないときは、
「このままでいいのかな」
と悩むこともありました。
それでも約12年間続けられたのは、お客様や一緒に働いてくれたスタッフのおかげです。
これは店を離れた今でも、本当に感謝しています。
12年続けたサロンを離れて
2026年、私たちは「ほぐし処とりっぷ」の運営から離れることになりました。
長く続けてきた仕事を終えるのは、やっぱり少し不思議な感覚でした。
「もっとこうすればよかった」
と思うこともあります。
でも一方で、
夫婦で店を始めて、12年近く続けた。
それだけでも、私たちにとっては大きな経験だったと思っています。
今は主人も私も、それぞれ違う仕事をしています。
私は50代になってから、また新しい仕事にも挑戦するようになりました。
サロンを始めた頃には、今の自分なんてまったく想像していませんでした。
人生って分からないものですね。
仕事は変わっても経験は残る
サロンを辞めたからといって、そこで経験したことがなくなるわけではありません。
人と接すること。
身体のことを考えること。
自分で仕事を作ること。
うまくいかないときに考えること。
そして、やめる決断をすること。
全部、今の自分につながっています。
50代になると、
「今さら新しいことを始めても……」
と思うこともあるかもしれません。
でも私は、サロンを卒業してからまた新しい仕事を始めました。
だから今は、
仕事は一度決めたら一生同じじゃなくてもいい。
そう思っています。
これからも、そのときの自分に合った働き方を探しながらやっていこうと思います。